「容疑者Xの献身」を読んで

前回試しにブログを書いてみたけど思いの外気分がスッキリしたからできる限り続けてみようと思う。週に一回程度がちょうどいいかも知れない。

 

といってもブロガーさんみたいに役立つ情報を記す能力もないし、日常は勉強して飲みに行って就活するくらい面白みもないものであるため、読んだ本の感想を主に書いていこうと思う。全然ネタバレアリなのでご注意を。

 

容疑者Xの献身」を一週間くらいかけて読んだ。東野圭吾が書いたミステリーで、確か小学生くらいの頃に福山雅治が主演でドラマもやっていたような気がする。

 

小説の構造としてはさまざまな人の視点から文章が構成されていて、多角的な視点で事象を考えられるようになっていた。犯人は最初に記述があることにより誰かわかっているため、「誰が犯人なんだ…!?」といったドキドキはなかったが、その分最後のあたりまでトリックがわからないようになっていてすごい面白かった。

 

トリックについては「頭がいいんだなぁ」くらいの感想しか抱けなかったため、読んで思ったことを素直に書いていく。

 

私が基本的に思い入れがある登場人物は二人。

まずは犯人の娘である美里ちゃん。

経緯は違えど私と同様に母子家庭の娘であり、それにしては真っ直ぐ育ってていいなと感じた。この頃の私はもう少し母と仲が悪かったため、母子でいい関係を築けているのは純粋に羨ましかった。しかし、母と仲がいいからこそ、また真っ直ぐ育っているからこそ、純粋に助けてくれた人を敬いそのことで罪悪感により傷ついていることがわかった。そして、どう足掻いても「普通」に戻れないだろうなと思い悲しくなった。

 

そして、犯人を愛したため犯罪に手を染めた石神さん。

前読んだ本にこんなことが書かれていたのを思い出した。人間は居場所があると精神が安定し、貢献欲により幸せを感じると。誰かに存在を認められ、その誰かのために尽くせることが幸せなのだとか。

その点で言うと、石神さんは靖子さんにために尽くしていた期間、つまり犯行を隠していた間は幸せだったのだろうなと思った。生きる目的を失っていた時に見つけた居場所は靖子さんと美里ちゃんの穏やかな生活を見守ることであり、その時間を愛していたからこそできた「献身」だった。だからこそ、最後の石神さんの気持ちがわかってしまい心苦しくなった。

 

今まで読んできたミステリー作品の中では後味の悪いものではあったが、登場人物の心理描写が多く読み応えがとてもあった。また、人の「盲点」をつくようなトリックもとても面白かった。

途中湯川教授が「この世に無駄な歯車なんかないし、その使い道を決められるのは歯車自身だけだ」という言葉を口にするのだが今の私にとても刺さったため、このマインドで日々過ごしていきたい。